オープニング企画

平成20年度文化庁「文化芸術による創造のまち」支援事業
平成17年度「名古屋市都市景観賞・まちづくり部門」受賞

「やまのて音楽祭2009」では「オープニング企画」として、「東区文化のみち」「南区笠寺のまちづくり」「城山・覚王山文化の里づくり」と音楽祭の事例をもとに、地域資源の活かし方や、地域間連携について考える場を企画しました。

第一部では「座談会」を、第二部では音楽祭のオープニングに相応しいコンサートという構成です。

開催内容

  • 【開催日時】平成21年3月7日(土) 15:30〜20:00
  •   (第1部・15:30〜17:30、第2部・18:30〜20:00)
  • 【開催場所】名古屋市千種文化小劇場
  •   名古屋市千種区千種3丁目6-10(地下鉄吹上駅下車徒歩3分)
  • 【参加費用】
  •   第1部 入場無料・申込不要
  •   第2部 2,000円(前売1,800円)
  • 【参加者数】第一部・約100人、第二部・約120人

第1部の内容紹介

座談会「地域資源を活用した文化のまちづくり〜地域間連携を考える」
東区文化のみち、南区笠寺のまちづくり、城山・覚王山文化の里づくり、やまのて音楽祭の事例をもとに、地域資源の活かし方、地域間連携について考えます。
報告者:
松田 和彦(東区まち育ての会副会長)
青山 知弘(かんでらmonzen亭事務局、元内閣官房都市再生本部事務局)
高木 傭太郎(文化の里づくり委員会代表世話人)
高木 康光(「やまのて音楽祭2009」実行委員長、城山商店街振興組合理事長)
コメンテーター:
天野 鎮雄(俳優、タレント)
天野 武子(愛知県立芸術大学芸術創造センター長)
鈴木 賢一(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授)
下斗米 隆(NPO法人世界劇場会議名古屋理事長)
進行役:
川本 直義((株)エルイー創造研究所取締役主任研究員)

第一部の光景 第一部の光景

事例報告:
○報告1 報告者:松田和彦
「文化のみち」の10年とまちそだての会のあゆみ
東区まちそだての会では、文化のみちの魅力を多くの人に伝えようという活動を行っている。
「文化のみちワークショップ」を2004年から毎年開催しており、文化のみちをどうしていくのかを議論している。
その他にも、イラストマップの制作、デザインによる広報・イメージアップ、橦木館の指定管理者(NPO橦木倶楽部)、陶磁器会館の土曜日開館サポートを行っている。
ここ10年間で文化のみちは、二葉館やルーテル教会など近代建築物の増加や百花百草、堀美術館、貨幣資料館など民間の来客施設の増加で名古屋の見どころとして定着してきた。当初のイメージをほぼ実現したため、次の10年間のビジョン作りが課題となっている。
また、地域の施設間の連携や、情報バンクとしての確立、橦木館指定管理者の仕組みづくり、若い世代への継承も課題とされている。
○報告2 報告者:青山和弘
まちづくりの担い手ネットワークと南区笠寺でのこころみ
内閣官房都市再生本部の調査・研究によりまちづくりでは3つの担い手ネットワークが必要であるとされた。
一つ目は、まちづくりのリーダー同士悩みの共有をし、孤立感を解消しようという全国ネットワーク。
二つ目は、同じ地域内の様々な団体をつなぐ地域内のネットワーク。
三つ目は、支援する側とされる側をつなげるようなネットワークである。
南区笠寺では地域内ネットワークを上手く利用し、笠寺観音亀池ゴミ釣り大会や地元ブランドによるファッションショーなど双方の利害を一致させたまちづくりイベントを行っている。
しかしまだ単発的なイベントに終わっていたり、地域のひとたちに十分PRが出来ていなかったりする。
そういった点を他の地域と連携して解決していけるのではないでないだろうか。
また将来のビジョンが定まっていないため方向性の不安が課題となっている。
○報告3 報告者:高木傭太郎、高木康光
地域資源を活用した文化のまちづくり
千種区城山・覚王山地域は、明治37年の日泰寺の創建がきっかけで町が形成され、名古屋市の一番近くの里山ということで、別荘や料亭などが集まり社交・文化的施設としてお茶席が多く作られ、そこの地形と自然を活かしたゆったりとした緑の多い町になっている。
2001年に名古屋市が地域の資源を活かした魅力ある区づくりとして魅力アップ事業を開始した。
区役所事業として始まった実行委員会ではあるが、音楽祭は独自で収益を得たり、協賛広告を集めることで財政確保をしている。
2010年に名古屋市総合計画の「魅力ある区づくり」が終了するため、これからの音楽祭や魅力アップ事業をどうしていくか考える時期にきている。
◆パネルディスカッション◆ 主な発言
●「かんでらmonzen亭」のことは知りませんでした。一生懸命まちづくりをしているのに、十分PRが出来ていなくて 評価されないのは悔しい。行政に援助してもらえなくても、続けていくのが最後の勝利につながるのではないか。
●今は点でしかないやまのて音楽祭が、線になり面になっていくように活動をどんどん広げていくことが課題。その地域の元気が今度はもっと大きい意味での広がりや活性化につながっていけばいい。
●いつも同じようなところで、同じような企画ばかりやっているとマンネリ化してしまうので、少し変わったことをやっていきたい。単純に音楽を聞く企画だけで、持続できるか不安。魅力アップ事業全体の中の音楽祭と捉えて、いろいろやりながら継続できればいい。
●限られた人の中でできるだけのことをしているので、もっと幅広い得意技を持ったいろんな人に集まってもらえることが必要。行政の方は文化や歴史、こういった市民活動についてもう少し知っていただいた上で担当していただけたら、もう少し分かり合えるのではないか。
まとめ(鈴木)
継続というのは、同じことを繰り返す力があるかどうかということだと思う。
同じことを繰り返していく中でその年の良さをうまく組み合わせていけたらより良い文化が継続される。市民と行政は絶対に手を取り合わなければいけない。
お互い持っている力が違うと思うので、何とか協働していく仕組みを作っていきたいと思う。きっかけは、行政が主導したことからだが、市民も主体的に動けるような歴史を作っていきたい。
※会場からの意見※
・地域住民への一層の浸透を図って学校関係へのPRも必要ですよ。
・音楽祭の時にただ音楽を聴くというだけでなく、会場となっているお寺や神社を紹介する時間をとったらいいと思います。

ロビーの光景 受付の光景

休憩時間中、ロビーにて軽会食の提供(実費負担)と「弦楽四重奏」を演奏しました。

第2部の内容紹介

コンサート「早春の響き〜愛知芸大弦楽アンサンブル〜」
愛知県立芸術大学音楽学部・弦楽器の教員と大学院生を中心とした演奏
出演者:
Vn. 福本 泰之(*)、白石 禮子(*)
Vn. 高田 明日香、大崎 麻里、滝下 瑛子、中瀬 梨予、久米 浩介、松田 みどり
Va. 桐山 建志(*)、棚橋 恭子、吉内 紫
Vc. 天野 武子(*)、佐藤 光、中山 郁
Cb. 礒部 麿未
※(*)印は愛知県立芸術大学教員
曲目
弦楽五重奏曲ト短調K.516(W.A.モーツァルト)、弦楽八重奏曲変ホ長調op.20(F.メンデルスゾーン)、弦楽四重奏曲「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」op.51より(弦楽合奏版)(J.ハイドン)

愛知芸大弦楽アンサンブル 愛知芸大弦楽アンサンブル

演奏者・曲目紹介 (プロフィールは開催時のものです)

福本 泰之/ヴァイオリン
愛知県立芸術大学大学院修了後、直ちに同大学の専任助手となる。
名古屋を拠点にリサイタルや室内楽などの演奏活動のほか、ザ・ストリングス名古屋メンバー、名古屋(二期会)オペラ管弦楽団コンサートマスターもつとめる。
1994年にウィーン国立音楽大学のM.フリッシェンシュラーガー教授のもとで研鑽を積んだほか、これまでにヴァイオリンを木村善之、知念辰朗、中村桃子の各氏に、室内楽を黒沼俊夫氏に師事。
現在、愛知県立芸術大学准教授。
白石 禮子/ヴァイオリン
桐朋高校を経てパリ国立高等音楽院及び同大学院首席卒業。
13歳で全日本毎日学生音楽コンクール優勝、ロン=ティボー国際コンクール最年少入賞、ヴィエニアフスキ国際コンクール第3位他、受賞多数。
13歳で名古屋フィルと協奏曲を共演以来、国内外でオーケストラと共演、リサイタルを行う傍ら、TV、NHK-FM、音楽祭等にも出演。ソニー主催によるデビューリサイタルでは「類い稀な才能」と絶賛された。繊細な美しい音色と鋭い洞察力に基づく深い音楽表現に定評がある。
桐山 建志/ヴァイオリン・ヴィオラ
東京芸術大学を経て同大学院修了。フランクフルト音楽大学卒業。
1998年第12回古楽コンクール「山梨」第1位。1999年ブルージュ国際古楽コンクール第1位。2005年古楽コンクール「山梨」の審査員を務める。
現在「オーケストラ・シンポシオン」コンサート・マスターの他、室内楽を中心に活動中。
愛知県立芸術大学准教授、フェリス女学院大学講師。レコード芸術特選盤「シャコンヌ」(CAIL-728)を皮切りに多数のCDをリリース。
天野 武子/チェロ
東京藝術大学音楽学部卒業後、同大学大学院研究科修士課程修了。在学中に安宅賞受賞。
東京アカデミカー・アンサンブル、後の東京ハルモニア室内オーケストラのメンバーとして『ルツェルン音楽祭』『マントン音楽祭』等において、国内外で演奏活動を行った。現在も様々なジャンルでの演奏活動を行っている。
名古屋フランス音楽研究会会員。愛知県立芸術大学教授。同大学芸術創造センター長。

会場の紹介

開催マップ

「千種文化小劇場」(ちくさ座)

2002年竣工。地下鉄桜通線吹上駅の近くにあり、中央舞台を客席が取り囲む円形劇場のホールです。

道路に面する二面を壁面緑化した外観で、7種類もの蔦で覆われています。

平成15年度「名古屋市都市景観賞」受賞、第35回(2003年)中部建築賞一般部門入選。